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美の歴史 ウンベルト・エーコ@優美から不安の美へ、マニエリズムとバロック

2009-04-12 | 23:41

美とは均整と適切さから生まれ、諸部分の調和から生まれる優雅さにほかならない、という大原則は、ルネッサンス期に高度な完成を見たが、不安に美を見つける遠心力の萌芽もあった。
数学を中心とした科学の進歩は、予想以上に不安定な調和の発見にいたる。
理想都市、新しいアテネのイメージは、イタリア各都市の政治的経済的なほころびにより内側から蝕まれて行く。

マニエリスムの芸術家は、古典的な美の規範を無効にして空想の世界へと乗り出す。新プラトン主義による入念は計算よりS字状の流れるような形。

美から計測と秩序と比例という基準を奪い、主観的で不透明な判断を基準にしていく。典型がアルチンボルト。
その絵は古典主義のあらゆる体裁を剥ぎ取られ、驚愕と機知により表現されている。それは洗練され、教養があり、コスモポリタンである。
マニエリスムは、バロックのより庶民的で感情的なダイナミズムも拒否したが、その結果、ルネッサンスを凌駕し深化させたものになった。

心配、不安の源流には、コペルニクス革命がある。

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Theme : アート
Genre : 学問・文化・芸術

美の歴史 ウンベルト・エーコ 15.16世紀の魔法の美

2009-03-25 | 17:39

15世紀、イタリアでブルネフスキによる遠近法が確立され、フランドルでは油絵の技法が普及(ヤン・ファン・エイクで頂点となる)すると、視覚世界を知ることが論理的に一貫する規則に従う科学的な方法となった。

新プラトン主義はマルシリオ・フィチーニによりフィレンツェで奨励された。
それは、古代の叡智を近代の形に翻案して、美を整合性のある象徴体系に統合し、キリスト教の象徴的意味と調和していることを示すものである。
局所の美でなく、超感覚的な美こそを、本当の美の性質とするものである。
また自然の美には魔術的性格が備わっているものである。
ティツィアーノの「聖愛と俗愛」は、イデアとリアル、という新プラトン主義を良く現している。

ルネッサンス期の女性は化粧を利用し、宮廷でのファッションを決定し、会話、議論、哲学の能力も発揮した。
それらがティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」や、ダ・ビンチの「チェチリア・ガッレラーニの肖像」の女性像の謎めいた表情へと結実する。

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Theme : 洋書多読
Genre : 学問・文化・芸術

美の歴史:4 ウンベルト・エーコ 貴婦人とトルバドゥール@綾波レイの源流

2009-03-15 | 16:05

中世においては肉の快楽を警戒する厳格な道徳論から、女性の美は研究対象ではなかった。
ただカミルナ・ブルーナとボッカッチョにのみ注目する。

11世紀にプロヴァンスの抒情詩人が詩作を始めた。
そのテクストは、純粋に昇華された愛の対象(手を伸ばせば消えてしまうようなイメージ)としての女性である。
これは、十字軍に行く騎士と奥方への慕情だが、主君への忠誠が奥方を不可侵とされる。
もう一つの解釈は、異端カタリ派の霊感を受け、肉欲嫌悪の態度を身に付けた、というもの。
女性は求められると同時に拒まれる。それは母のイメージであり、手が届かない宿命故に騎士はナルシスのように、鏡に映った像に恋をすることである。

道徳的敗北と官能の成就の瞬間は、満たされず無限に長引かされる欲望に比べると分が悪い。激しい欲望は、卑しめられるほど増幅されるサドマゾ的様相を帯びる。
また「かなわぬ愛」という概念は、中世が造りだした、というより、ロマン主義の解釈の結果でもあった。

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Theme : art・芸術・美術
Genre : 学問・文化・芸術

美の歴史:3 ウンベルト・エーコ著/中世の光と色彩&怪物の美 第Ⅳ、Ⅴ章

2009-02-28 | 21:15

第Ⅳ章、中世の光と色彩
中世=暗黒時代という偏見は間違っている。
絵画においては、スフマートやキアロスクーロ(明暗法)がなかったので、純色の配合からくる独特の輝きがあった。
バロック美術では、事物が光に打たれ量感の効果が描かれるが、中世の装飾本では光は事物から発しているように見える。(なるほど!)

クラリスタ(トマス・アクイナスの定義した美の条件:光と輝き)
多くの文明において神と光は同一視されてきた。(セム族のバール、エジプトのラー、イランのアフラ・マズダ)これはプラトンの太陽のイデアとして善の概念に行き着く。

太陽の光や夜の星々の輝きを我々はどうして美しいと思うのか@プロティノス

一般的な装飾は、光と色彩にもとづいている。
大理石はその白さゆえに、黄金はその輝きゆえに美しい。
色とは閉じ込められた光や純化された物質にほかならない。

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Theme : 本の紹介
Genre : 学問・文化・芸術

美の歴史:2  ウンベルト・エーコ@第Ⅲ章:均衡と調和の美/すべてはプラトンから

2009-02-17 | 22:55

古代ギリシャでは美の定義に色彩と光の快感を必須とした。
また万物の起源論が盛んであってが、前6世紀にピュタゴラスが万物の起源は数である、と主張し、宇宙的美学=数学的な見方が誕生した。
彼らは無限と限界に帰せられないものに神聖な恐怖を抱いたのである。
また音楽における数学的な比例と均衡を研究した淵源となる。

テトラティクス:ピュタゴラス派の宣誓の象徴。
一つの三角形の中に無限に三角形を描いたもの。

調和は対立のうちにある。
偶数と奇数、有限と無限、統一と多様性、右と左、直線と曲線。
それらの均衡がカノン(規範)となり、幾多の彫刻が造られた。

中世の文化はプラトン起源(同時に発展したヘブライの神秘思想も)世界は一つの大きな生物、人間のようであり、人間は世界のようである。宇宙は大きな大きな人間であり、人間は小宇宙である。
よって「ホモ・クアドラトゥス@ピュタゴラス」宇宙の原則である数が、美的な照応でもある一連の数的照応にもとづく象徴的な意味を帯びる。

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Theme : アート
Genre : 学問・文化・芸術

美の歴史:1  ウンベルト・エーコ@かつて「本」とよばれた存在を思わせる1冊

2009-02-06 | 21:12

歴史を遡る時、思うことの一つは本の価値です。
価値と言って伝わり難ければ、「ありよう」、と言っても良い。
今でこそ書店にいけば山積みになっている「本」も近代印刷技術のない時代において、それは宝玉に値するモノであったのではないか、と思いをはせます。

この本は特筆すべきほどの美麗なる図版と、ウンベルト・エーコの格調高い文章で、そんな数百年前の時代にあった宝石を思わせる1冊。

私は本は買って読んで、後はアタマに入れてナンボと思うのでガリガリと線を引きながら読むのですが、そんな習慣すら躊躇させられるものです。

以下、この本から勉強したことの覚書です。
1)この本は「美の歴史」を語ったものだが、西洋美学のみあつかう。
理由はテクストの存在である。

2)「もし雄牛に手足があったら、その神々は雄牛に似るだろう@コロンボーンソクラテス以前の哲学者」
この意味は、美とは絶対的でも普遍的でもなく、時代や国によってことなるという原則を認識させる。
千年の時を経て、通じる概念もあるのだ。だからこそその関連を考えねば。

[美の歴史:1  ウンベルト・エーコ@かつて「本」とよばれた存在を思わせる1冊]...Read more

Theme : 絵画・美術
Genre : 学問・文化・芸術

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