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坂口安吾 堕落論&桜の森の満開の下@戦後の日本の応援歌&究極のホラー短編

2014-11-19 | 22:12

上記二つを読了。
まずは堕落論ですが、題名からして物々しく、文章も、「堕ちよ、堕ちよ、生きながら堕ちよ」なんてあるんで、どんなおぞましい堕落や退廃の世界が書いてあるのだろうと身構えるかもしれませんが、なんのこはない、要するに世の中生きてナンボなんだから、あまり堅苦しく考えずに生きて行きなさいという、堕落論というより、人生の応援歌みたいな本です(笑
というのには事情があって、この本は戦後焼野原の中で書かれた本なんですね。そしてそこに残された日本人は、大きな虚脱感に捕らわれていた。
だから坂口安吾は、崩れ去った戦中の道徳観に縛られ過ぎていることはないと、この本でさとしたわけです。
当時の世間体だと、戦死した夫に先立たれた奥さんは、生涯面影を抱いて残りの人生を生きるべきである。
戦友は南方で露と消えたのに、生きて戻った男たちが、戦後は金儲けに走るなんて許されることではない、なんてことは考えるな、と。
堕落と言われようが、なんと言われようが逞しく生きろ!

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津軽  太宰治@ラストのたけの描写には唸らざる得ない

2014-10-18 | 21:24

斜陽を読んで、改めて凄い作家だと認識を新たにして、今、安吾と太宰がマイブームです。
堕落論、桜の森の満開の下、などを読了していますが、今回の記事はこの津軽

題名通り太宰が自分の出身地、津軽地方を旅しながら、場所場所ごとに友人たちと歓談するという展開で話が進むのですが、練達のまさに津軽の雪解け水を飲むような、さらさらとした喉ごしで腑に落ちていく文章から展開される津軽地方の自然と人間の描写は秀逸ですが、どうもなと思わせるのが、津軽地方の歴史的経緯を説明する為に挟まれる古文書は読みにくい。
文学的な価値も効果もあるとは感じられない。
ま、太宰の中では中堅作品だからこんなモノかなと思いながら行きつくラスト。

あのたけという女性の描写には唸らざる得ない。

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斜陽 太宰治 @NEETとの差は美意識だけ

2014-09-26 | 21:49

自営業なんで延々と働いている。
休日も夜間も、止める気になれば止められるのだが、どうしても働くか、仕事の勉強や工夫、研究をしているかだ。
心から遊ぶということが出来ない。
でも仕事が好きなわけではない。
むしろ今すぐ辞められるモノなら止めたいのだが、出来ないのだ。

NEETが羨ましい。
なんと言っても働かないでいられるのは究極の贅沢だ。
ただ真似をしたいとは思えないのは、彼らの姿が美しいとは思えないから。

この小説で描かれるのは、生きる為の生命力をとことん失った没落華族たち。
今どきのニートを豊かな社会が生み出した甘えの一団と決めつける識者がいるが、まったく無知なのが分かる。
日の下に新たなモノなしという定説通り、太宰治の描きだす彼らのダメっぷりは、今どきのニートの比ではない。
それでも読んで惹きこまれるのは、美意識があるからだ。

美意識とは感性を元にした一種の覚悟。
美しくある。そうなろうと決めた意識である。

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夜明け前:第二部下巻 島崎藤村@たゆたうような大河は滝となって落ちた

2014-09-17 | 22:21

島崎藤村、夜明け前、ついに全巻読了しました。
近代日本文学の巨峰を制して、少しだけイイ気分です。

今回の記事は内容に触れてます。
以下、目に入らないよう緩衝帯として青空文庫おススメ文章を書きましたから、知りたくない人はこれ以降、読まないように。

この小説が極めて優れた一冊であることは言う間でもないのですが、まずみなさまにおススメしたいのは、青空文庫のアプリをインストールしましょう、ということです。
世界中探しても、無料でこれほど優れたコンテンツを提供していくれるソフトは他にないでしょう。
青空文庫の素晴らしい処は、隙間時間に読めることで、それこそトレイから、電車の中まで。
ちょっとした待ち時間にページを開いて読み進められる。
世界の超一流の文学をです(文学というととっつき難いかもしれんが、無料だし)
これはスゴイことだと思うんだ。
だまされた思って是非一度。
慣れてない方は梶井基次郎あたりがおススメ!

さて前置きが長くなりましたが、この歴史を俯瞰する、たゆたう大河を思わせる長編文学は、第二部下巻

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夜明け前:第二部上  島崎藤村@読みやすく面白くためになる大傑作小説

2014-08-01 | 20:51

中棚壮が、藤村ゆかりの宿と書いたら、来訪したお客さんから、「ふじむらゆかりさんって、誰ですか」と聞かれたという話があるそうです。

21世紀の日本では、島崎藤村も遠くになりにけり、ってことなんでしょうが、これだけの傑作を無料の青空文庫で読んでいる身としては、なんとももったいないなあと感じます。

夜明け前は、文芸評論家として名高い篠田一士が「二十世紀の十大小説」に入れた程の名作で、作風の好悪を別にしても読んでおきたい逸品です。
そして実際読んでみればオモシロい。

文学!の王道作品ですが、まったく難解な処はなく、文章は練達の極みなんだから読みやすいったらない。
内容は確かに地味で、この巻ではいよいよ江戸から明治になる(日本近代化への夜明け前、という題名の由来

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夜明け前第一部(下)島崎藤村@視点が多数に発散して語られる幕末模様

2014-04-24 | 21:11

相変わらず多くの本と同時進行で読んでいる「夜明け前」もこの下巻で幕末模様は終了。
第二部から明治となりますが、主人公は木曽の山中に住んでいるので、はっきりと言い切られるようなことはありません。

今さら分かり切った話ですが、徹底的に違うなあと思わされることは、情報量の格差。
京都だ江戸だで、維新の炎が燃え盛り、人死に事件も連発!
外国船は不審にうろつき、時に戦争紛いの紛争も多発。
ついに徳川300年、1000年近く続いた武士の時代が激流の中に崩れ去ろうというのに、知り合いからの手紙でしか事情を推察出来ないって凄いよね。

私がこの間、朝起きてiphone立ち上げて慌てて消したのは、深夜にやっていた海外サッカーの試合結果を「知りたくなかったから」だもの。
大きな試合と言ってもたかが球蹴りの結果すら、地球の裏側から瞬時に届けてくる(テレビにはリアルタイムで録画されている。結果を知らないで観たかった)時代と、自分の住んでいる国の激動事情を後からでしか知りえない世界・・・
何せこの小説、かなりの大河ドラマなのに、主人公は時代の中心で活躍するということが全くない。
京都やら江戸やらという時勢の中心地にすらほとんどいないという、今時の小説なら編集者の直し確実!
有りえなくない?ということで、こんなんで、果たして長編小説が成り立つのかというと成り立ってます。
それも抜群にオモシロイ!

まあ、途中、革命軍みたいになった水戸藩士がやたらカッコ良く戦っていたり、将軍家内幕模様とか、外国との騒ぎの顛末が、主人公目線を離れて語られるからなんですが、その安定感は流石に日本近代小説界の大文豪!
じっくり読めて味わいは深く、幕末から明治までの事情を掌と出来る小説となっていて、おススメです。

Theme : 読書メモ
Genre : 学問・文化・芸術

夜明け前(第一部上)島崎藤村@思ったよりずっと読みやすくオモシロイ傑作小説

2014-02-09 | 22:17

私が文学少年だった頃、すでに古い作家の代名詞だった島崎藤村先生。
今どきの若い人で知っている人、どの位いるんでしょうか?
絶滅寸前、という気もするんですが、それでも覚えておいて欲しいのは、この小説がとてつもない傑作であり、歴史的金字塔であるということです。
今、傍らでまどかマギカ第5巻BDを掛けながらこの記事を書いているんですが、まどかマギカも島崎藤村も日本のフィクション史(さらに言うなら高い娯楽性と深い文学性を両立させた傑作群)という大きな歴史的流れの中ではつながっているんです。
それはこの小説で描かれた幕末から明治へと至る日本と、今の日本が繋がっている如くにです。
それならこの小説の掛かれた1929年からまどかマギカの2011年までの80年で、フィクションがどのように変容したのかを実感じても良いでしょう。

で、何も知らない人の為に、この小説はどんなモノなの、というと、時代は幕末。黒船やらがやってきて徳川体制が揺らいできて、尊皇攘夷だ、開国だと世の中が大きく変転している時の話です。
「夜明け前」という題名は、近代日本の夜明け前、だよ、ということですね。

場所は有名な冒頭の文章@教養になるので覚えておきましょう「木曽路はすべて山の中である」から分かるように、木曽

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Theme : 小説
Genre : 小説・文学

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹@オシャレンティーなのは一つのスタイルだし、コレはコレで良く出来ている

2013-10-08 | 21:32

Amazonに上げられた笑える書評ですっかり村上春樹の黒歴史になってしまった本作品。
私も読み始めてはみたものの、あまりにツマラさに40pで挫折。
今回はダメだったな、と投げ出していたんですが、本棚の整理中になんだか気になりだして再読開始。
読み返せば40p位が胸突き八丁で、ここから一山超えればどんどんオモシロくなっていて、読了する頃には、悪くないじゃないか、と思い直しました。

確かに春樹村上の主人公はオシャレンティーが過ぎる処があるし、色々特に女性関係では都合の良すぎる展開があり過ぎるとこが気に食わんという心情、理解出来るんだけど、それはさいとうたかおのゴルゴ13はなんでいつも最後はOK、相手の裏をかいて勝ち続けられるのか、とか、映画の中でB・ウィリスはどんなに撃たれても致命傷にならないのは何故か、というのと同じで、そういう設定のフィクションなんだからしょうがないよ。
この作品が批判されたのは、そんな設定への不満を問答無用に納得させる力が少し足りなかったからだろう。
それがオシャレンティ―嫌いのアンチ村上春樹派の反乱を許してしまった(笑
出版界の帝王となっても、その座を守るのは大変なんだよね。

改めて読んでみれば、「色」に対し、「つくる」、という言葉が生む暗喩は何か、とか「駅」とは何の象徴なのか、なんていうのは、じっくりとした考察に値するし、シロに憑りついた「悪霊」の正体は何だったのか描写される箇所は短いけど充分ホラーでゾクッとくるので楽しめる。

それでも、「彼女の作品は・・・匿名の動物たちが人知れず、こっそりと音もなく踏みしめていく木の葉だ。」とか「(老人は)明快への道筋を既に死者に教えた死神のように(去った)」なんて比喩が嫌いな人は嫌いなんだろうな。

Theme : 読書メモ
Genre : 学問・文化・芸術

お目出たき人 武者小路実篤@明治時代にもいた妄想系究極ニート

2012-08-18 | 21:48

仕事もせず、勉強もせず、実家の資産をあてにしながら、ひたすらに一人の女性に恋心を募らせる男の話ですが、武者小路実篤、凄いです。

主人公の行動力のないこと、臆病なこと、ウジウジしていること、ほとんど究極形で、最も思い切った行動が、その女性の通う学校のそばの道をビクビクしながら通ること。
だいたい恋する女性とは一言も口きいたことないんだけど、結婚が決まった後の妄想が膨らむ膨らむ。
その痛々しい内面が描かれる小説なんですが、読ませます。

たとえば、手紙を書いて興奮し、ねむれなくなり、自分を哀れむ涙をこぼした後、思うことは
「自分は男だ!自分は勇士だ!自分の仕事は大きい。明日から驚く程勉強家になろうと自分は自分を鼓舞した。その内にねてしまった」
なんて書いてある。
スゴイ文章だよね。
当然、翌日も勉強なんかしません。
友人とどうでも良い議論をしては家に帰って用意してある食事をし、後は書生に本を探させたりするんです。
良い身分だよね。
なんか、働けよって言いたくなるよね。
いつまでも、あると思うな親の資産だよ、なんて余計なこと言いたくなる。

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Theme : 読書メモ
Genre : 学問・文化・芸術

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド 村上春樹@安部公房に似ている

2012-06-03 | 14:41

随分前の作品ですが、今読むと二つの世界を生き来する辺り、なんとなく1Q84の原型とも読めます。
不可思議で美しい幻想世界と、危険に満ちたもう一つの世界。
その間に生息する得たいの知れない恐ろしい生き物。
村上春樹が最も掘り下げたいテーマはこの辺のかな、と感じますね。

壁とか、一角獣、とか、あからさまに手垢のついた暗喩を使いながらも、語られる幻想世界は、格別だった夕暮れの描写をはじめとして、詩情に溢れ、正邪の混淆した魅力的な世界となっています。
メタファーの構造が結末近くで明かされていく過程もスリリングで、読む喜びに満ちていました。
多少、一部、語り過ぎて長く感じる個所もあるのですが、それでも単行本で600p以上、浮気させずに読み切らせるのだから大した力量です。
現代人なら見るであろう夢想、ある種のユング的な集団幻想を非常に高い水準で文章に起していると思いますね。

この本で最もしかり、と思ったのは(以下の文章、省略改変があり)
「完全さというものはこの世には存在しない。永久機関が原理的に存在しないのと同じようにだ。エントリピーは常に増大する。この街はそれをどこに排出しているのだろう。誰も傷つけあわないし、誰も憎み合わないし、欲望もモタナイ。みんな充ち足りて、平和に暮らしている。何故だと思う?それは心を持たないからだ。戦いや憎

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Theme : 本の紹介
Genre : 小説・文学

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