メジャーリーグ・オブ・ドリームズ 林壮一@マイノリティのメジャーリーガー

2009-11-15 | 17:49

本来はボクシングをフィールドとする林さんが、イチローブームに乗りたがる出版社の依頼を受け取材を開始しますが、日本からの取材攻勢に辟易していたマリナーズは冷たい素振り。

ただそんなことにはメゲないのが林さんで、直接取材がダメならメジャーリーグの他球団を回り、周辺の目からイチローを見てやろう、という本になりました。

当時のメジャーリーガーやファンを初めとする周辺の人々がイチローをどう見ていたのかが明らかにされていきますが、同時にイチローと同じメジャーリーガーでありながらアメリカ人でないマイノリティの選手たちの肉声を通して、彼らの生き様、立ち位置が描かれます。

アメリカという国の中でのマイノリティ、さらには国を超えて人の間に存在する差別する側とされる側の問題にまで切り込んで行こうとする処が林さんらしい本でした。

Theme : MLB
Genre : スポーツ

人間を幸福にしない日本というシステム  K・V・ウォルフェン@古くても示唆された内容は未だ終結せず

2009-11-11 | 15:17

もう15年も前の本ですが、非常にキャッチーな題名と、当時は新鮮だった官僚批判の内容から、出版されるやベストセラーになりました。

今となってはフォロワー本も多数出ており、テレビ、新聞を始めとして、政治家の発現まで官僚批判が最もウケル風潮ですから、この本の新鮮味も失われたか、と思われるでしょうが、なんのなんの。

やはり嚆矢となった著者の目は鋭く、深く、そもそも何故に日本がこうなったか、という洞察は、日本の長きに渡る歴史からの考察を経ており、目を見開かせる力がありです。

民は知らしむべからず、依らしむべし、から始まり、現代では、わざと曖昧な文言の法を造り、行政指導という解釈で自分たちの力を好きなように振るうなんて指摘には、実際の仕事で役人相手に苦労した方なら分かる感覚なんじゃないでしょうか。

すでに記者クラブの弊害も指摘されてますが、この問題、予算処置すら必要としないのだから鳩山内閣は速く実現して欲しいのですが、ダメなんでしょうね。
代わりに出てくるのは外国人参政権だもんなあ・・・

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Theme : これでいいのか日本
Genre : 政治・経済

倒壊する巨塔(下)ローレンス・ライト@暗黒の王子、縦割り行政に敗れる!か

2009-10-10 | 00:28

アルカイダと「9.11」への道、の下巻は、第11章、暗黒の王子という表題から始まります。
暗黒の王子なんて呼ばれるのは、どんなに恐ろしい人間なんだろう、と思って読み出したらなんとFBIの1捜査員のことでした。
でも読むにつれ、終わりなき夜に生きるようなこの男なら暗黒の王子と呼ばれても肯けると納得。
デカイ組織の1員でありながらも、暴れればここまで出来んのかと呆れるやら感心するやらです。
この人はプライベート・ライフも読みどころで、土下座ありの綱渡りありの、とまあエネルギッシュな人生を送ってますが、ほとんどやり手のヤクザじゃん、と思った処で、FBIはマフィアとの戦いの中で今の文化になった、なんて説明があり、なるほど、日本でもヤクザとマル暴の刑事なんてどっちがどっちかワカランもんなあ、と感じ入ります。

さらに日本で批判されている縦割り行政ですが、読み進めにつれ激しく明らかにされるのはCIAとFBIの断絶状態。
情報を出せの出さないのともめることもめること。
お互い意地になっていて、最期は書面じゃ嫌だけど、読み上げるだけならイイとか、うーーーん、なんだか日本の役所みたいな事言い出す箇所なんてこれが世界に名だたるCIAなんかと、?、マークが

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Theme : ノンフィクション
Genre : 本・雑誌

倒壊する巨塔(上)ローレンス・ライト@語られるシェヘラザード、繋がれた1本の糸

2009-09-29 | 21:47

アルカイダと「9.11」への道、と副題にあるように、イスラム原理主義の端緒から911テロに至るまでのノンフィクションです。
その取材量は圧倒的でしかも文章の巧さは、伝説のシェヘラザードもかくや。
歴史の大きな波の中に繋がれるか細い糸のような可能性が、巨大な現実へと変わっていく様は圧倒的なオモシロさです。

奇怪な組織のテロ計画を察知したFBI情報分析官の報告が無視されるプロローグから始まるこの本は、第1章で一気に50年の時を越えて逆行。
アメリカへ留学生として送られた一人の教育者の話しになります。
内容は読んでください。
後のイスラム原理主義の源流を作り出すサイイド・クトゥブの話にはただ驚くのみです。
年はすでに42歳。趣味はクラシック音楽とハリウッド映画。バイロンやユゴーを読むインテリの中身は「西洋人」でした。
その彼がアメリカで変わって行く過程は、およそ私の想像を絶する物でした。

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Theme : 紹介したい本
Genre : 本・雑誌

モオツァルト 無常という事 小林秀雄 @俺は本当に日本贔屓なのか?

2009-06-23 | 21:55

私は日本贔屓です、といつも書いてます。
ユーラシア大陸の東の端に弓なりに浮かぶ島国が好きだ。
鬱陶しいこの季節まで好き・・・日本列島は日本人だけの物だと思う。
食べなれているとか、体質にあっているとかいう次元でなく、日常食に関して日本は圧倒的に素晴らしい、とも思う。
東京を世界1の美食の都と認め続けるミシュランは器がデカイ。
・ ・・でもこの本を読むと自分に少し疑問が沸いてきます。
何故かと言うに、「モオツァルト」の章は良く分るんですね。
私は特に熱心なモオツァルト聴きじゃないんですが、一通りは聴いている。
だから読みながらでもふんふんと分る。
でも実朝とか馬子の墓なんて章になるとチンプンカンプン・・・古文の素養がなさすぎます。
象徴派の詩人は好きでも短歌ってのが分らないのが分った
「春霞いづち立ち出に行きにけむきぎす棲む野を焼きてけるかな」
この歌の良さ分ります? 
当麻の件も分らない・・・読み進むにつれ、自分が日本の伝統文化音痴であることを自覚するしかない。

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Theme : 書籍紹介
Genre : 学問・文化・芸術

エンタテイメントの書き方  柏田道夫@脚本家志望でなくても映画好きなら

2009-06-03 | 15:44

シナリオライターをめざす人のための手引き書ですが、一般の映画ファンでも読めば映画の構造がよりよく分るようになり非常に楽しめる本です。

1本の映画が撮られる時、まず注目されるのは主演の女優、俳優だったり、大規模な特殊効果だったりしますが、どんなに華やかな要素でも、生かすか殺すかは、それを動かす脚本次第。
そんな映画の裏で働く知恵の深さ、技の巧みさは素晴らしいですね。

この本を読んでから、映画を観ると、コレはあの効果を狙った展開。
このセリフが生きてないのは、こういう具合の工夫が足りないから、なんて裏方の事情が分った気になれます。

脚本において、
1)説明的なセリフは失格。セリフにすら伏線を持たせ、切れば血を流すような言葉を書け。
2)人物に二重性を持たせよ。表を見せておいて裏を返す。そのスリルが肝心だ。
3)一つのシーンには二つ以上の要素を入れろ。ストーリーには秘密を持たせよ。捻りを決めろ。
なんてのは、なるほど、と思いました。
これだけ読んでも意味不明かと思いますが、この本は具体例を挙げながら説明してくれるので、読めば腑に落ちます。

それにしてもビリー・ワイルダーはスゴイね。
この本のセリフ編で説明されているんだけど、その巧さには脱帽です。

Theme : 映画関連ネタ
Genre : 映画

図説 絶版自動車  下野康史@何故クルマ人気は下火になったのか?

2009-04-12 | 17:41

3年前の自分にキャラ萌えになっていると言っても信じなかったでしょうが、若い頃の自分に、将来、オマエはクルマの雑誌を全く買わなくなっている、と言っても信じないでしょうね。
その位クルマのことばかり考えていた時期、あったんです。
でもクルマへの関心がすっかり薄れているのは私だけではない。
日本人みんなが関心を失いつつある。
何故でしょう?

この本は60年代から80年代のクルマ46台を、下野さんが一気乗りした試乗記です。
果たしてかつてのクルマの魅力は何だったのか、読んでみれば分るでしょうか?

出てくるクルマはトヨタ2000GTからスバル360まで。
読み進めるうちに、なんだか昔の思い出が蘇ります。
117クーペは品の良いお屋敷の前に停まっていたなあ、とか240Zには憧れたなあとかね。
当時は買えないクルマでも、主な物はゼロヨンからゼロヒャク、みんな暗記していたものね。
今では買ってしばらくしてから調べているんだから何という差。

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Theme : 旧車
Genre : 車・バイク

アメリカ下層教育現場  林壮一 /マジ泣きしました。題名に興味のない人にも

2009-02-24 | 23:36

題名通りの現場で実際に教鞭を取ったノンフィクションライター、林壮一さんの「体験記」です。
ノンフィクションと言っても「取材記」でなく「体験記」というところがまずミソです。
それは客観的なデーター集でなく、書かれる文章に血肉が通うということですね。

正直、この題材にあまり興味はなかったのですが、林さんは前作、「マイノリティの拳」という本が非常に印象的だったので読んでみました。
それでも最初はせいぜい「金八先生」のリアル・バージョンでしょ。
だいたい枠は読めてるよ、と高をくくった気持ちだったのですが、読み進めているうちに不意に泣けてくる。

別にお涙頂戴で書かれているわけじゃないのです。
自己憐憫に満ちた表現があるわけでもない。
ただ真摯に生徒と向き合い、過酷な現実に自分の非力さを自覚しながらも困難と闘う林さんの姿勢は感動的ですね。
人間性がしのばれるノンフィクションで素晴らしかったです。

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Theme : アメリカ合衆国
Genre : 政治・経済

スーパーカー誕生    沢村慎太郎@天下の奇書?あるいは歴史を変える傑作本!

2009-02-09 | 21:54

名前通りスーパーカーの歴史が語られる本ですが、ハードカバーで実に800p以上!
読んでいる間、重かったので計かったところ840gあったという驚くべき1冊です。

さらにこの手の本ではありがちな、カラー写真など一切なし。
1モデルづつ、側面からの投影図が乗るだけです。
後は全部文章!
いやー、読み出はありましたよ。
そして大変楽しくスーパーカーの勉強が出来ました。

著者の沢村慎太郎さんがこの本で書き表したのは、はたしてスーパーカーとは何ぞや?ということです。
スーパーカー、フェラーリやランボルギーニなどは良く本になっていますが、それは華麗なスタイルや強力無比なエンジンが、女性に例えると、トップモデルや女優、アイドルを思わせるからなんですね。
こんなにカッコイイ!と。
そしてアイドルの3サイズとか趣味が語られるように、パフォーマンスや加速性能が記される。

沢村さんは、そんなミーハーな観点からではなく、エンジン工学からサスペンションの構成、ボディ剛性、生産コストのことまで、徹底して学術的に迫ります。
そしてクルマの歴史という縦糸の中で、イタリアに限らず欧州全般から実はアメリカにもあった

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Theme : スーパーカー
Genre : 車・バイク

結婚難民  佐藤留美@煽り本でないまともな1冊

2009-02-08 | 20:58

年々下がり続ける日本の婚姻率!
その原因は意気地のない男にあり、という論調に真っ向から反論する1冊です。

悪いのは女!という訳で、「結婚してはいけない13の女」としてカテゴライズされたタイプが次々と紹介されるのですが、その自己愛とエゴの塊みたいなモンスター化した女性像を読んでいると、うん、うん、いるいるこいうタイプと記憶が蘇ってくる。
女性にとって男性の悪口が心地良いように、男性には女性の悪口って気持ちイイんですよね。
でもさすがに13タイプの後半になるころには、これ散々男性を悩ませた一種過剰なレッテル張りじゃないの?
という、同情というか疑問もわいてくる。
確かに何かを勘違いしているモンスター女はいるけど、大多数の人は、普通に良い人だよなあ、と思ったところでこの本は、実はこんなに語りましたが、こういうタイプって少数です、と救いが来る。
こういうセンセーショナリズムに陥らない常識が来るのが、この本の救いです。

それから著者は、女は金だろ、顔だろ、というのはマスコミが語った偏見であり、普通の女性は、普通の男性と地道な幸せを願っています、って訴えているけど、コレまんざら嘘じゃないと思う。

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Theme : 婚活のすべて
Genre : 結婚・家庭生活