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変身 フランツ・カフカ@怪物はザムザでなく、我々なのだという暗黒

2014-10-30 | 20:13

家族の為に真面目に働いていたセールスマンが、ある朝起きたら巨大な毒虫になっていたという不条理な恐怖を描き、後の文学から、芸術全般、映画からテレビ番組に至るまで、巨大な影響を与えた作品です。

カフカと映画やテレビの関連というのは、あまり聞いたことないかもしれませんが、最近、某有名大学の学生にカフカと言ったら作品を読んだことがない以前に、名前すらしなかったので、あえてサルトルやらカミュに実存主義文学の先駆と賞賛されたなんて話は止しときます。
ただこの人の提示した不条理な恐怖は、後にTV番組としてはアメリカで「トワイライト・ゾーン」日本では「ウラトラQ」やら「世にも奇妙な物語」などとして、作家でもリチャード・マシスンやら筒井康隆などに霊感を与えています。
ま、ともかくスッゴイ作家であり、作品だということです。

さて、もし貴方が朝起きたら巨大な虫になっていたらどうでしょう。
職場には行けませんよね。
結果、仕事も出来ませんから、もう家族に経済的な貢献は出来ません。
虫になったら姿も不気味なんで、貴方自身の気持ちはそのままでも、周りの人間からは驚かれ疎まれます。
この小説のザムザさんも、家族から驚かれ、次第に疎まれるようになります。
でも変わっているのは姿だけで、心はそのまま、家族思いのお兄さんなんです。

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わが悲しき娼婦たちの思い出 ガルシア=マルケス@magic realismはない

2012-08-24 | 22:09

満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生日祝いにしようと考えた。
という一文から始まるこの小説は、なんと言っても著者がガルシア=マルケスだし、題名もなにやらポエティックだし、手が伸びたのですが、残念ながら文章には、マルケスならではの魔法のような幻想喚起力がありませんでした。

ストーリーも登場人物も極めて真面目な話で、この作品でマルケスが読者を連れ出す先は、南米版、ポジティブ・シンキングの世界。

本の冒頭にあるように、この作品は、川端康成の「眠れる美女」から着想を得たとされていますが、変態度は日本の鶴のような作家に遥かに劣り、まあ、川端より変態という作家はなかなかいないから、私は何をこの作品で何を期待していたのかと改めて自分に問い直すと、結局、文学史上最大最高の作家は、どういう具合にロリータ愛を描くのだろう、という好奇心だったのでしょうね。
でもそっち方面の描写はゼロ。
さらに豊潤を超えた過剰なほどの生命の乱舞の描写とか、夢幻への奔放なスペクタクルもない。

なら読まなければ良かったのか、というとそうでもなくて、装丁が綺麗な本だし(特にカバーを取った後の光沢ある表紙が良い)、なんと言ってもガルシア=マルケスだし、短いし、読後本棚に並べておけば見栄えが良いので、読みたいと思ったらどうぞ、という感じですね。

Theme : 文学・小説
Genre : 小説・文学

幸福な死 アルベール・カミュ@不完全な構成なれど「太陽はいっぱい」

2012-06-15 | 21:10

カミュ自身がこの小説は不完全であり、出版はしないと決めた初期草稿作品です。
何が不完全なのか、というと、ストーリーの構成で、前半1/3位の処では、
「おいおいあの話はどうなったんだよ。
突然、まったく別の作品になっちゃんでんじゃないの」、と嫌になる。
この当時のカミュに、西尾維新の構成力があったらなあ、と。
時代を飛ばしてコーチしてもらうことをおススメしたくなる。

それでもなんとか読み進んだのは、例によって文章が素晴らしく詩的音韻とイメージの喚起力に満ちていたからです。

フランス人ってホントウに太陽と海の光が好きで、その描写は珠玉の如しであり、類稀なものですね。
サルトルもランボーも、モネもシスレーもピサロも、つまるところ太陽の光に魅せられた者どもであった、と。
結局、フランス人が愛するモノ、フランス人が天国と感じるモノって、ルネ・クレマンの描いた「太陽がいっぱい」なんだよな。
太陽の光と海の煌めきに満ちたリゾートの快楽とその奈落。
リゾート地は、「美と幸福が絶望の相を浮かべている」かもしれないし、「真っ赤に輝く、神々の微笑にみちみちて」いるのかもしれない。
見つかるモノは、「戦慄を一つの歓喜として捉える」ことかもしれないし、「孤独と幸福の無限の砂漠」なのかもしれない。
どちらにせよ、楽しめる。
読んでいて最高のトリップだったのは確かでした。

本人が出版させなかったように、確かに小説作品としては不出来な部分ありますが、天性の詩情は処女作故の繊細な輝きに満ち、オタクなら必読の作品だと感じましたね。

Theme : 本の紹介
Genre : 学問・文化・芸術

シャンタラム グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ@上巻からの言葉

2012-03-16 | 22:58

この小説には素晴らしい言葉があふれているので以下覚え書き
1)賢明さとはある意味、愛の対極にあるものだ。愛は賢明でないからこそ、私たちの中でいきつづけるのではないか。

2)もし我々が痛みのために苦しむことがなければ、何も学ばないだろう。苦しみのない痛みは、努力をともなわない勝利のようなもので、そこから自分たちをより強くしたり、より善くしたりする何か、私たちを神に近づける何かを学ぶことはできない。

3)意思の強さは自己を律することによって培われる、それは自らに科す苦しみのようなものだ。苦しみとは幸せの毒を抑える抗毒素である。

4)人はいつだって信頼することによって他人を傷つけるのよね。誰かを傷つける一番確かな方法は、その相手を全面的に信頼することよ。

5)真実とはわたしたちみんなが好きなふりをしている、いじめっこみたいなもの。友情とは誰も合格しない代数の試験みたいなもの。

6)ものに動じない心を得るには正義という名の制度さえあればいい

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Theme : ことば
Genre : 学問・文化・芸術

カラマーゾフの兄弟5 ドストエフスキー/亀山郁夫@理解を助ける300pの解説

2011-10-18 | 20:55

全五巻にわたるカラマーゾフの兄弟、ついに読了です。
長かったですが、非常に充実した読書時間でした。
この巻での小説はエピローグのみ掲載で、60pだけです。
後の300pはドストエフスキーの生涯として100p、年譜に、解題「父」を「殺した」のはだれか、という亀山さんの解説が掲載されています。
たっぷりとページが割かれているので、解説も丁寧で分かりやすかったですね。

この小説はご存じのように、古典小説の最高峰というには、けっこう未完成な印象が残ります。
一番?と思うのは、キャラクターの書き分けにバランスが欠けていること。
これだけしか出ない子供を、何故これほど丁寧に描写するのか、なんてことですね。
それからエピローグも唐突な印象で、これをもって文学史上の最高峰とまで言われると、荒になるような完成度です。
でも書かれなかった第二の小説があったとすれば、すべて納得なんですね。
その書かれなかった第二のカラマーゾフの兄弟を、亀山さんが非常に巧みに推理してくれている。
・・・惜しかったよねえ・・・ドストエフスキー自身が言うように、この第二の小説が書かれていれば、そうとう凄い作品になったのではないか?
こっちの方がオモシロそうだものね。
そういうことを読めるだけでも、この最終巻は価値があります。

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Theme : 本の紹介
Genre : 学問・文化・芸術

カラマーゾフの兄弟4 ドストエフスキー/亀山郁夫@ニュートン的、ユークリッド的世界観の極限の小説

2011-10-10 | 17:08

700Pあった4巻目読了です。
長いよね。
救いはオモシロイことです。
ドストエフスキー、恐れるに足りず。
楽しくサクサク読めるんで、みなさんも読んでみてください。

この小説は、私の大嫌いなサヨクの人たちが崇め奉る露文なんで、なんとか難癖をつけてやろうと思って読みだした部分もあるんですが、評判にたがわず確かにオモシロイ。

古典小説の最高峰とされていますが、認めても良いでしょう。
でもドスさんは、川端や三島、カミュのように、読んでいるだけでうっとりするような美文の作家ではありません。
どんな作家か、というと、ひたすら人間とは何者か?
神の存在、不在を通して人は如何に生きるべきか?真理とは何か?
なんてことを徹底して考え抜いた作家ですね。
ロシアという獰猛な自然の大地を舞台に、極端な性癖を持つ人間を登場させ、ドスさんは読者に多くの疑問を提出します。
読んでいると、非常に真面目な方だったんだろうな、と思いますね。
真面目過ぎる位、真面目で、粘着的なほどに考え抜く人だった。

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Theme : 読書ノウト
Genre : 本・雑誌

カラマーゾフの兄弟3 ドストエフスキー/亀山郁夫@おまえ、ペンキ屋だな(爆笑

2011-09-25 | 18:05

3巻目です。
この巻は、2巻目ほど深い論議は読めませんが、出てくるキャラクターが立っていて、面白く読ませます。
笑ったのはエントリーにも書いた某人物の「おまえ、ペンキ屋だな」というセリフ。
詳しくは読んで戴くとして、この部分、某高級ホテルのトイレの中で読んでいて吹き出しました。
突然の笑い声に、周囲の人は怪しんだと思うのですが、絶妙のタイミングなんだもんな。
この前後に、「運命は、ばけものですからね」なんていうスゴイセリフも出てくるんで、まさかあの悲惨な混乱状態をこんなセリフで落とすとは思わなったです。

さて、話はいよいよ裁判になります。
殺人事件の犯人は誰か?
普通に考えればミーチャ以外ありえないのですが、そこは稀代の傑作小説なんですから、展開を期待しましょう。
まあ、ここからは半分ミステリー小説のノリで読みます。

ps
巻末の亀山さんの読書ガイドが非常にオモシロイです。
まず、日本の左翼が絶賛する露文の大大将、ドストエフスキー様はネトウヨだったのあだあ、ということにビックリ!

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Theme : 本の紹介
Genre : 学問・文化・芸術

カラマーゾフの兄弟2ドストエフスキー/亀山郁夫@奇跡はビジネスになる、を予言した大審問官

2011-09-17 | 23:27

カラマーゾフの兄弟、2巻目です。
読むと1巻はこの長大な小説の導入部だったのだなあ、と感じます。
2巻目は、リズムが出てきてストーリーが走り出し、内容が深まってずっとオモシロイですよ。
特に「大審問官」は凄いですね。
イワンの語る、物語詩、という設定ですが、非常にスリリングな部分の抜き書きで、なんとなく聖書の「黙示録」的な立ち位置を感じました。

この章節については書きだすと切りがないんで、一番印象に残った部分だけ書きますと、
「おまえは知らなかった。人間が奇跡をしりぞけるや、ただちに神をもしりぞけてしまうことを。なぜなら人間は神よりもむしろ奇跡を求めているからだ。そもそも人間は奇跡なしに生きることはできないから」
これですね。
そう、人は奇跡なしには生きられない。
だからこそ今は奇跡がビジネスになっている。
巨大化したスポーツ・ビジネスとか映画や音楽などのエンターテイメントビジネス、みんな奇跡の商業化だもんね。

後は1巻目の神学論争に結論が見えてきていて、それは
「神がいないなら、神を考え出さなければならない」

[カラマーゾフの兄弟2ドストエフスキー/亀山郁夫@奇跡はビジネスになる、を予言した大審問官]...Read more

Theme : 読書メモ
Genre : 学問・文化・芸術

カラマーゾフの兄弟1 ドストエフスキー/亀山郁夫訳@気軽に挑戦出来る訳

2011-09-02 | 22:40

世界文学史上№1候補の小説、カラマーゾフの兄弟。
読んでみようか、と思っても、高すぎる前評判に手が縮みますか?
そういう読者も多いのなら、亀山訳は、悪くないんじゃないか、と感じました。

以前読んだ時は岩波訳で、随分と晦渋だった思い出がありましたが、この小説、読み直して改めて思うけど、1巻では酒飲みの暴れん坊が、息子たち相手に神学論争する話しですよね。
元々そんな教養階級の話ではない。
だからと言って簡訳して良いモノではないと思うのですが、欧州からは文明の整わぬ田舎扱いされる分、スラブの広大な大地を思わせる生命力とカオスに満ちたキャラクターが織りなすストーリーは、少し走り気味でも良いのでは、と感じてます。
2巻以降、まだ読んでないので結論は持ち越しますが、ともかく読みやすく楽しい1冊です。

以下、ちょっとこの小説の熱烈ファンには不愉快な事書きますが、ネトウヨの個人的感想なんで、コイツはバカなんだと思ってスルーしてください。

そもそも私はロシア芸術ってそれほど好きじゃないんです。
極めて優れたモノがあるのは認めてますよ。
画家もマレービッチなんて5本の指には入らないけど、10本の指にも入らないかな・・・いかん、褒めてないじゃん。

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Theme : 読書メモ
Genre : 学問・文化・芸術

ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語 ゾラン・ジフコヴィッチ@intelligenceはあるけどmagicが足りない

2011-05-19 | 23:40

著者、ゾラン・ジフコヴィッチは、ブルース・スターリングによればスリップストリーム文学の新旗手であり、New York Timesに言わせると「新世代ボルヘス」へのトップ候補だそうです。

3つの作品が収められた短編集ですが、いずれも幻想味豊かな物語で、知的に洗練され、構成も完璧。
文章も読みやすく、この本に限れば薄くて字も大きいので、すぐに読了できます。
でも中身も薄味と感じました。

読者を引き込み、虜にしてしまうようなmagicが足りない。
頭脳は非常に明晰な作家なんだろうなあ、という気はするんですが、狂気というか毒までが薄味なのが残念でした。
東欧文学の流れと、それを生みだす底流に少しふれられた気になったのは収穫かな。

現代文学はとりあえず抑えておきたいという方なら、読んでみると良いでしょう。
決してツマラナイ作品集ではない。
事実、燃え上がる神殿や、悲劇的な能力を持った一人の患者の死は、極めて印象的で、後後まで残るイメージに満ちています。
でも過剰な期待には添えかねるという出来ですね。
個人的にはそう感じました。

Theme : 本読みの記録
Genre : 本・雑誌

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