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難儀でござる         岩井三四二

2007-04-05 | 23:05

歴史の大きなうねりの中で躍動する英雄達の騒ぎにのみ込まれ、面倒な状況になりながらも、いっぱい、いっぱいにあがいて明日を目指す普通の人々を書いた短編集です。

超人でもなく、恵まれた境遇でもなく、それゆえに小さな事で苦しみ悩む登場人物には、ある種の共感が湧き上がります。

信長に頼み事をする役回りは嫌だろうなぁ・・・
でもそんな状況から、信長の弱さに気づく辺りが、一般人でも苦労すれば到達できる発見ですよ。
そう、どんな英雄だって最後は人間。

「羽根をください」の情けなさ。
「一句、言うてみい」の和尚の見事さ、が印象的でした。
悟るならここまで行きたいものです。

「蛍と呼ぶな」には、なんとも云えない人生と運命の不条理が、ほろ苦いラストに生きています。

読後は、まぁ、みんなタイヘンだよね。
生きていくのはさ、と思えるようなデキです。

妙な名古屋弁が使ってあったり、ゆるい造りをマターリ楽しむ時代小説ですね。

お暇なら、という程度です。
文庫になったらキオスク辺りで買って、ビールとお弁当の友に楽しむ、なんて読み方が良いと思います。
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Theme : 歴史・時代小説
Genre : 本・雑誌