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秋の牢獄  恒川光太郎 /天才!恒川光太郎

2009-01-21 | 15:38

3つの話からなる中編集ですが、全部が傑作という凄い本です。
以下作品別に感想を書いてみます。
1)秋の牢獄
同じ一日を繰り返し続ける女子大生・・・ありがちな設定ですし、この手の小説の好きな方ならケン・グリムウッドの「リプレイ」を思いだすかもしれませんが、優れた作家というのはありがちな話しを巧みに語るものなのです。

「時間の牢獄」に囚われた主人公は、戸惑いながらも日々をしのぐうちに仲間と出会い、励まされますが、新たな安らぎはすぐに崩壊していきます。
そして訪れる夢のような日々・・・
恒川ワールドに欠かせない「恐ろしくも美しい圧倒的な存在」がもたらすラストは、大きな余韻を残します。

2)神家没落
何気ない散歩の途中で迷い込んだ一軒の家・・・それは出ることの適わぬ結界に阻まれた聖なる家
だった・・・
我々が普段、仕方なく絡め取られている日常は、退屈なものです。
恒川さんの小説には、そんな灰色の日常から美しい夢の中へとやすやすと脱出させてくれる快感があります。
ファンタジー色の強い展開なんだな、と安心させられた処から、悪夢の相貌を持つ話に落とす仕掛けにはあっけに取られました。

3)幻は夜に成長する
謎めいた導入部から始まる物語は、すぐに幻術師の老婆と少女のバディ・ストーリーへと転じます。
この時点で先の展開はまったく読めません。
ただ不思議に目を奪われるのみです。
そして悪意に満ちた存在に対してなされる復讐には胸がすきます。

世の中には残念ながらいるんですよね。
ジム・トンプスンの云う所の「理由などない。オマエが何かをしたわけでなく、何かをしなかったわけでもない。オマエの泣き顔が見たいがために傷つけたがる人々」が。
そんな存在に対して壮烈な復讐を予感させるラストは最高でした。

どの作品もあっという間に引き込まれます。
恒川光太郎が「文章で喚起させるクオリア」は鮮明でパワフルです。
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Theme : ファンタジー小説
Genre : 小説・文学

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