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【直言】 努力論 幸田露伴 【明治男】

2010-08-05 | 22:41

文語体であり、辞書にも載ってない漢字多数で、入り込むまでは読み通すこと、かなり難しいかな、と感じたのですが、独特のリズムに馴れていまえば、流石に文豪の筆捌き。
案外、読めました。
コツは、半ば外国語みたいなモノ、と割り切ったことでしょうか。

解り易いく、印象に残ったことを書いて見ます。(多少省略、改変してます)
面倒がらずに読んでみてください。明治男の根性を感じさせる文章です。
1)運命と人力と
自己の掌より紅血を滴らすか、滑沢柔軟のもののみ握るか。この二つは、明らかに人力と運命の関係の好否を語る目安である。


2)自己の革新
即ち昨日までの自己保身体取扱に未練を残して居るために、やはり昨日通りの運命に付き纏われて苦しんで居るのである。例の如き旧い運命に生捕られたくないならば、旧い状態を改むるに若くはないのである。
とかくに理屈を付けて昨日の自己を保護弁護しつつ、さてその結果だけは昨日より好いものを得たいと望むのが人情であるが、それを恕するとすれば数理上やはり自己は新たにならぬのであるから何もならない。
いやしくも自ら新たにしよと思ったならば、痛苦を忍んで昨日の自己の旧い悪習と戦ってこれに克ち、これを滅
し、これを殲してしまわねばならぬのである。
よろしく発憤して自ら新たにすべしである。

3)接物宣従厚(ものに、せつするに、よろしく、あつきに、したうべし)
美なるもの、用あるものを穀傷残害するよりほかに能力なき人ほど、憐れむべく哀しむべき人はまたとないのである。
自己の是とすることのみを是とせば、天下は是ならざるものの多きに堪えざらんとするのである。故にいやしくも兇悪でなく狂妄でない限りは、人の思想や言説や行為に対しては、いやしくもか剋殺的でなく助長的であって然るべきである。

4)静光動光
心が向うべきところにのみ向うことが出来なくて、チラチラと余事に走っていくことを散乱心というのである。
もし剣を執って相闘って居るなら、一念の逸れると同時に切り殺されてしまう。
深謀遠慮ある手段は案じだし得ぬであろう。
ましてや偉大な事業や幽玄な芸術やが、気の散るような浅薄な人の手で成し遂げられようか。
人もし事を為し、もしくは思を運らす時に当って、おのれが胸裏の消息に注意して見て、いやしくも気が散ると知ったならば修治せねばならぬ。
散る気は、為すべきことを為さず、思うべき事を思わずして、為すべからずことを為し、思うべからざる事を思うところから生じて散乱するのであるから、先ず能く心を治め意を固くして、思うべきところを思い、為すべきところを為さんと決行するのが、第一着手のところである。


5)跋
不如意のこと常に七、八分なる世にありて、徒に自ら悩み苦みて、朗らかに爽やかなるに能わざる多きを悲しみ、心の取りかた次第にて、さように陰惨なる思のみを持たずとも、のびのびと勢いよく日を送り、楽しく生を遂げ得べきものをと、いささか筆墨を鼓して、苦を転じて楽と為し、勇健の意気を以って懊悩焦燥の態度を払拭せんことを勧めたまでであった。

みな迷いのない直言、ど真ん中です。
今の時代に、新鮮の感、大なり、でした。
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Theme : 日本文化
Genre : 学問・文化・芸術

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