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アメリカの鱒釣り リチャード・ブローティガン@幻想は現実を逆探知する回路

2010-08-13 | 23:15

題名からして奇妙な印象を与える作品ですが、読んでも2-5p程度で終わるショート・ストーリの連鎖で、これのどこが小説なのか?と思うこと多々だと思います。

一貫したストーリーもあるような、ないような。
コレといったオチもなしなら、苦悩とか人生の意義への示唆もありません。
でもこれがビートニクと呼ばれた世代の、19世紀に完成され尽くした小説という芸術形態への、ポストモダン、20世紀アメリカ文学の解答なのです。

なんだかとっつき難そうな紹介文になりましたが、使われている言葉は非常に平明であり、描かれるイメージは詩的です。

この不景気な、それ故、実用的でなく即効性のない知識が軽んじられる時代において、私は文学趣味をオススメしたい。
幾多の古典、世界中で書かれた作品を読んでも、後に一文にもならないことは事実ですが、逆に、読まなければ幾らお金を積んでも獲られない楽しみ、記憶が得られるのも確かです。

どこまでも人生は金、という方にも、文学作品を読むことは、非常にコストパフォーマンスの高い趣味である、
というは認めてもらえると思うのです。
そしてそれは教養と感性を持つ方だけの特権的な快楽なのです。

藤本和子さんの翻訳が非常に見事な出来なのは、周知の事ですが、あとがきもブローティガンの優れた論評になっています。
以下、ブログ用に短めに改変しますので、興味の沸いた方は是非、ご一読を

「ブローティガンのことばは完了しない。いつもそれははじまりを予期させる。そして同時に、はじまりは、いつもおわりをのみこんでいる・・・
幻想は、人工的に現実を完結させない。むしろそれは、現実を逆探知する回路なのだ。そして探知された現実は、わたしたちの思想を完結させるものとしてあるより、完結しがちなわたしたちの洞察を揺さぶるものなのだ。」

このような方法論は、近代科学のもたらした分析的方法論へのアンチテーゼとなる。
「分析による対象への接近は、ある現象をその構成要素に分けることに成功すれば、その現象を理解したことになる、ということだ。
これは線的時間が独裁的に支配する算数的方法であって、自分の意向がどうであろうと、アイデアを乱射する放射装置となってしまう。それは遠心分離機として機能し、ほとんど求心力を発揮しない。@D・グッドマン」

ps
上記、文章の繋げ方など、私の個人的な解釈を含んでいます。


幻想が現実を逆探知する回路だから、シュルレアリズム、超現実的な、形而上学的なアプローチが絵画の上でも成立するんだな。
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Theme : 読書ノウト
Genre : 本・雑誌

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