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質屋の女房 安岡章太郎@屈折した感情を読む楽しみ

2010-08-18 | 16:30

いわゆる戦後、第三の新人とされる安岡章太郎のデビュー作「ガラスの靴」から芥川賞をとった「陰気な愉しみ」「悪い仲間」など、初期の10編が収められた短編集です。

文学!ですが、文章は軽快で読みやすく、気張る必要はありません。
それでいて伝わってくる非常にデリケートな感情は、読み応え充分。
娯楽小説もイイケド、良質な文学は本当にオモシロイって。

特に「陰気な愉しみ」の屈折した感情は、ちょっとマゾっ気幻想というか、負けることの快感というか、主人公が生活保護を受けとるまでの普通でない感情が描かれるのですが、見事な出来です。

表題になっている「質屋の女房」(かなり屈折した題名で、結局、この感じが全編の基調となります)は、肝心のエロティックシーンはあっさり飛ばされますが、これが技、品位、というものでしょう。

「青葉しげれる」は、あのエヴァンゲリオンに出ていた青葉シゲルの登場を予言したようなキャラクターが出ていてビックリ・・・というのは嘘で、なんだ戦前にもいたジャン、ダメ男・・・日本、変わってないわ、とちょっと安心するような、しないような・・・1編ですね。

「家族団欒図」と「軍歌」はともに年老いた父親の人生を冷ややかに見ており、これまた老人問題、老人
になることも、老人を世話しなければならない方も、耐え難い生活と人生への機微が描写されます。でも重くないのが救いかな。
昨今話題の老人問題ですが、まさに日の下に新たな事はなし、が良く分かります。

大仰な話はなく、みな軽いタッチの文章とストーリー。
軽快でありながら余韻があり、刺激される感情が奥深い。
オススメしたい1冊です。

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Theme : 本の紹介
Genre : 小説・文学

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