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マイ・ロスト・シティー S・フィッツジェラルド/村上春樹訳@これほど美しい短編集、そうはないでしょう

2010-08-29 | 14:59

村上春樹、初翻訳作品のさらなる改訳本です。
最初に「フィッツジェラルド体験」として作家スコット・フィッツジェラルド論が展開されていますが、まずは読みどころ。
充実した論調で、スコット・フィッツジェラルド文学とは何物か、が展開されています。
文学論の類、優れた物が多いのは知っていますが、村上春樹さんの書くモノは、論考を超えて、ポエティックなイメージが触発されるのが値打ちです。
元々芸術作品は、微に入り、細にわたり全てを分解、切り分けたら、全てが明らかになる、という物ではない。
曰く言い難い何かをどう説明するのが本懐なら、こういうイメージの触発から筋道をつけていくしかないよね。

短編では「残り火」と「氷の迷宮」が絶後と言ってイイ出来です。
あまりに素晴らしく儚い美しさをたたえた作品なので、読んでいるうちに、そもそもフランシス・スコット・フィッツジェラルドという作家は、アメリカに存在するのか? という疑問すら生まれます。
どうことかと申しますと、これほどの作品を生んだ作家が、何故、アメリカでは短命の流行作家としてだけに終わったか、ということです。
作家が作品で判断されるなら、これほどの不条理はあり得ない。

そこで思いつくのが、もしかしたら、日本の我々が読めるこの短編は、スコット・フィッツジェラルドが触媒となり、村上春樹の脳髄にだけ生まれた作品なのではないか、という妄想です。
それほど圧倒的な出来栄えですね。

村上春樹の小説は嫌い、という貴方でも、文学が好きならこの翻訳作品は読み逃すべきではない。

最後の「マイ・ロスト・シティー」は、スコット・フィッツジェラルド自身のエッセイ。少し意味不明な点は、同じ翻訳ライブラリーにある「ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック」の「コンクリートとガラスの楽園」の章を読むとはっきりします。
もう村上春樹訳のフィッツジェラルド作品は全部読むしかないでしょう。

日本語訳は村上春樹とS・フィッツジェラルドのコラボとも言える、この世に生み出された最も美しい短編集なんじゃないかな。
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Theme : 読書ノウト
Genre : 本・雑誌

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