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ミシン 獄本野ばら @極限の虚構を掘り当てた極限の恋愛小説

2010-09-29 | 16:07

獄本さんの処女作で、二編の短編が収められています。

1)世界の終わりという名の雑貨店
私にとって恋愛小説は、あまり食指をそそられないジャンルです。
恋という領域に、未だ果たして読むに足る「何か」はあるのか?
そんな疑問が禁じ得ません。
ところがこの短編はやってくれました。
恋はまだ語るに足る「何か」を持っていたのです。

話の冒頭から、雰囲気があり、登場する男の子にも好感度。
相手役として、狂言回しとして良く出来てます。
そして「君」が登場するのですが、その造詣が圧倒的です。
筆が進むに連れ少しづつその本性が明らかになるのですが、常に予想の上を行く。
読み終えた今は、もう恋を描くならこの姿しかないでしょう、というカリスマすらまとってます。
どんなジャンルであれ、人の気持ちを動かすのは、足りないモノ、欠落なんだ。

そんな二人の道行きは、極限まで純化された、どこまでも先鋭的な話でした。
あまりに尖り過ぎ、純度が高すぎるので、小説の中ですら、淡い幻の如く、瞬時に消え去る幻影となり、恋の物語
のリアリティ、なども薬にしたくてもないのですが、フィクションとしての輝きは見事です。
この小説の、孤独な青年と心に病を持った少女の恋、という紹介は、
「すべての美の起源は傷にある@ジャコメッティを語るコクトー」という言葉すら思いおこさせるこの虚構の前で、あまりに陳腐です。

獄本さんの小説が泣けるのは、主人公が美意識故に立ち上がる姿が美しいからですね。
ラストまで筆は僅かなの計算もゆるがせにしない書きぶりで、落としも完璧。
傑作として記憶に残る作品になりました。


2)ミシン
「パンクはロックを終わらせた音楽だから、歴史に終止符を打ったの。
その袋小路の感覚が好きなだけ。パンクに未来を求めちゃいけないの。パンクは終わった音楽。パンク以降の音楽に興味なんてないし」
同意見であり、お説ごもっともなんですが、どうも話まで説明口調で、ストーリーがグルーブしてこない。
シドビシャス、というのも今さら感・・・ところが後半、「私」がバンドのオーディションを受けようとする辺りから狂気が頭をもたげてきて物語が走り出します。ラストではなんとか「オモシイ小説」の基準値を超えました。

なんとなく説明調子なんで、獄本美学が少し分かるような気にもなりました。
「性欲が観念的なら、欲望する精神が表象する性的対象も観念的たらざる得ない@澁澤龍彦」に近いと思う。如何
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Theme : 恋愛小説
Genre : 本・雑誌

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