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凍 沢木耕太郎@想像力の外側を見たノンフィクション

2010-11-10 | 15:36

沢木耕太郎は、何時の間にか私の中で存在感を失っていた著者でした。
ツマラナイ作品を読んだ覚えはないんだけど、著作から少しづつ遠ざかっていたんだよな。

久々に読んだこの本は、世界最高のクライマーの一人、山野井泰史さんご夫婦が、ヒマラヤの難峰ギャチュン・カンに挑んだお話です。

読む前から、沢木耕太郎が書く氷壁クライミング・ノンフィクションなんだから、凄い話しではあるんだろうな、とは思っていました。
どんなに絶望的な状況からの生還だったんだろう?
ご夫婦の話のようだから、どちから片方は遭難してしまわれたのかな?
生還出来ても凍傷とか酷いことになったのか、なんてことを色々思っていたのですが、実際に読んだ内容は、そんな全ての予想を遥かに上回るドラマでした。

この本、仙人のような超人夫婦である山野井御夫妻に、よほど刺激されたのか沢木節が冴え渡り、遭難中の描写など、壮絶過ぎて読んでるだけで苦しくなるほど。

まさに極限の状況下で、生を繋ぐ物語なんですが、背景は神々の玉座を思わせるヒマラヤ高峰、残酷なほとの荘厳美に山野井さん御夫婦の意思の力がぶつかって、ドラマは否応無く盛り上がります。
もう一つの読みどころは「第三章 彼らの山」で描かれる山野井夫婦の肖像です。
奥さんである妙子さんの人間性は、リアル仙人の物語として一読の価値、大いにあり。
二人のなれ初めから、御結婚にいたるまでの過程は、ほとんどお伽噺もかくや。(アキラメナイ、夫の年収1000万、という川柳とは真逆のお伽噺ですが)
世俗的な価値観から、これほど高く、美しく飛べれば、人生に悔いなしだろうな。
でもそうなる為には、心優しい超人であることが必要なんですが・・・


この本はあらゆる予想の上を行くでしょう。
人間の生きる意志と「想像力の外側」が見たい方、すべての人にオススメします。
流石に沢木耕太郎。心優しい山野井夫妻、超人伝説を見事にまとめあげました。

ps
なんで山に登るのか?
そこに山があるからです、という回答は、有名なトートロジーですが、一つだけ確かなのは、真に生きる手応えは安楽の中にはない、ということでしょう。
本当の美も安楽の中にはない。
人は怠惰で、楽したがりなので、それは大いなる矛盾として、立ち塞がります。
山に挑ませる欲望は、人が楽をして楽をして楽をしようとする時にスポイルされる遺伝子が反抗して跳躍する力ではないか?
一見無謀であり、意味すらないと思わせる挑戦は、楽をして弱くなることへの大いなる抗議、抵抗なのだ、と思うのです。
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Theme : ノンフィクション
Genre : 本・雑誌

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