スポンサーサイト

-------- | --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バビロンに帰る S・フィッツジェラルド 村上春樹訳@文学の生む魔法の短編

2011-01-19 | 20:46

文字だけで表現される芸術、文学に魅入られた方なら、このザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック2は必読です。

何故ならたっぷりと魔法のかかった作品、「ジェリービーン」が入っているからです。
この一編は、読んでいる間、美しい夢を見ているような気分になれます。
読み終えた後は、記憶の彼方に埋もれて忘れていた何かとてつもなく美しいモノの思い出がわき起こります。
何時か何処かで見かけたような、それでいて切ない思いのまま手の中を通り過ぎるのを見ているだけしか出来なかった何物か。
そんな曰く言い難い思いへの郷愁がわき起こります。

映画でもアニメでも不可能で、文学だけが人に呼び起こすことの出来る類の美しさ、ですね。
あらゆる分野においてこれほどの高みにある作品は、そうありません。
小説が好きだ、という方は必読です。

あまり出来の良くない短編「新緑」も心に残ります。
音楽にしろ、絵画にしろ、時におぼつかない出来の一品が、琴線に触れる、ということがありますが、この作品はそれです。
描かれるのは弱さへの愛しみ。
弱い人間が描いた弱い人の肖像画が、不思議に心に残ります。
効率こそ善、戦略による強かさこそ善、とされる時代に、弱さとはなんと儚く、時に美しいものか、と感じさせるのは並の手腕ではない。
こういう思いを抱いた時、人の感性の不可思議さ、幅広さに目が向くことは無駄なことではないでしょう。

村上春樹自身が書いた「スコット・フィッツジェラルドの幻影」と題されたエッセイも素晴らしい。
スコット・フィッツジェラルドの魅力を、非常に巧みに切り分けて掌をさらすように解説してくれています。
これほどの文学論はあまり読んだ試しがないのだけれど、話題にならないのは何故なんでしょう?


スポンサーサイト

Theme : 読書メモ
Genre : 学問・文化・芸術

Comment

Post a comment

Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。