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約束された場所で 村上春樹@何故、その一歩はズレるのだろう?

2011-09-05 | 23:17

村上春樹が8人の元オウム信者にインタビューしたノンフィクションです。
読んでいると、人の内面の深さに眩暈を覚える1冊です。

村上春樹は、信者との対談から、巧みに「異質性と同質性を腑分け」し「個人的物語の集積から生まれる集合的物語」を立ち上げます。
小説家として、エッセイストとして、翻訳家としても巧いのに、このシリアスなノンフィクションも巧いですよ。

内部から語られるオウムの実態は、血肉が通ってより生々しく、その壮大な馬鹿らしさと恐ろしさが伝わってきます。
良く言われることですが、信者の中には、非常に真面目に人生を考えていて、かつ頭脳も明晰である人がいる反面、これほど簡単に生活を捨てられるのか、と驚くような人もいます。
ただ普通の人とは微妙に思考パターンが違っている。
語られることを、ふんふんと読んでいて、分かるなあ、この感じと思っていると、ふいに突き落とされるようなズレがある。
そのズレ方が怖いんです。
僅かなズレなんですが、そのズレた方向に歩いて行くと、深い森に迷い込み、悪夢の中に目覚めることになった。
でも全員が後悔しているわけでもないらしい。
信者たちは、カルトの中に、何を見たんでしょうね?
私には結局、「深淵を覗くなかれ。それは同時に深淵から見つめられることである」なんて言葉しか思いあたりませんでした。
すべては謎と暗闇の中ですね。
ps
宗教に対する私の個人的な思いは、
「煩悩は死なず。
ただ巧みに付き合っていくのみ」
ですね。
判断を他人に委ねることは、人生における最も危険な罠です。

恐らくは生と不可分であろう煩悩を、無理に殺しにかかることは、相当危険な挑戦です。
私は凡人なんで、そういう戦いは最初から挑むことを諦めています。
そういう俗人の構造に生まれていることに、少し安心出来る本でもありますね。
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Theme : 本の紹介
Genre : 学問・文化・芸術

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