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アンダーワールドUSA(下)ジェイムズ・エルロイ@豊穣なる暗黒はより成熟を遂げ華を開く

2012-02-09 | 21:02

オモシロかったです。
齢60歳を超えたエルロイですが、毒に満ちたその作品は衰えるどころか、より成熟し、描かれる暗黒は、色彩をいや増して鮮やかでした。

今回、久々の新作を読んで感じたのは、ともかくこの人の小説はカッコイイんだ、ってことです。
ブツ切りの文章なんですが、ひょいと描かれる街角には詩情がよぎり、悪行をなしながらも苦しみのたうつ人物像にも、ふと神の赦しの兆が訪れる。
それがカッコイイ。
一見、とっつき難い印象だからこそ、その魅力に触れた瞬間、読者は、特権的な世界に入れたような気になれる。
音楽にしろ、映画にしろ、小説にしろ、絵画にしろ、分かりやすくてcoolな作品ってないでしょ。
本当にカッコイイモノって、どっか敷居が高いんだよ。

思い浮かんだ仮説1:エルロイはチャンドラーの後継者ではないのか?
甘いlyricalな文章が売りで、その主人公の行動原理は騎士道的な美意識が元になっているチャンドラーと、歴史の裏側で、血まみれの地獄巡りをするエルロイの登場人物たち。
真反対の印象だし、そもそもエルロイはハードボイルド界のドストエフスキーじゃないの、ということですが、案外coolな読み物としては、通底するものがあるんじゃないかな。
変わったのはチャンドラーの時代のcoolと、現代のcoolだけなんだ、というのが私の結論です。
ゾンビ・ゾーンなんてベタな章名つけても、内容がさまになっているのは流石の力量としか言えないし、ハイチでブードゥを材料に、こんな展開の話を書いて、なお読ませる作家は他にいないよ。

感動的だったのは第六部同志ジョーンで、今までのストーリーを振り返る形で、舞台裏の事情が描かれる。
不思議なのは、出来事としてよりリアルに描かれた箇所を読んでいた時より、何気ないはずの事情説明で、その物語の苛烈さが伝わってくること。
自分の中にも、読んでいるだけだったのに、トラウマが形成されていたのかな、と思えたのは新鮮な読書体験だった。

もう凡庸な娯楽小説では物足りない。
本当にcoolなカッコイイ小説が読みたいと思っている人がいたら特におススメだ。
今、現役で今世紀の後半になってもなお評価されているだろう作家を二人上げろ、と言われたら私ならキングとエルロイだね。

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Theme : ミステリ
Genre : 小説・文学

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