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アンダーグラウンド 村上春樹@二つの読み処をもつ分厚い本

2012-05-03 | 14:06

家にあったオウム信者へのインタビュー集、「約束された場所へ」を読み、こっちも読もうとAmazonで注文。
届いて驚いたのはその厚さで文庫だったのですが、なんと777p!
読みでがありました。
個人的には二つの顔を持つ本だ、と思いました。
一つ目の顔は被害にあった方々の話から伝わってくる、普通の人が理不尽に巻き込まれた大きな悲惨についてですね。
みなさん、ホントウに普通の人で、懸命に生活している人々です。
我々ってついつい有名人や成功者に視線がいきがちでしょ。
でもこの本を読むと、我々の社会を支えているのは、華やかさには無縁でも、日々懸命に自分の仕事をこなしている人々なんだな、と実感できる。
そしてそんな貴方や私の同族たちが、いかに深く傷つけられたか、と分かる。
植物状態になってしまった方。
壮絶な苦しみの中、奥さんとお子さんを残して亡くなったかた。
職務へ真摯な責任感から亡くなった方。
深刻な後遺症に、今も苦しんでいる方々・・・
そういう話を読むうちに、我々よりはるかにその事実を知っていながら、ありとあらゆる姑息な手段まで使い、犯罪実行者を裁かせまいとする集団がいるのを思いだすことになります。

世の常識というのは変わることがあります。
地動説が出た時は、ホント驚きましたよね(笑、驚いたと思うんだ、当時の人々は)
現代でも、量子力学やら宇宙論の新発見、それによる常識の変更は歓迎すべきことでしょうが、絶対に変えてはいけないこともあるんです。
意識的に人を害する人間は、厳しく罰せよ、ということなどです。
弁護団と称する集団の歪んだ理屈に、我々は断固屈してはならない。
何故ならそれは我々自身の生存権を、魑魅魍魎どもに引き渡すことになるからです。
もし貴方が貴方自身を、家族を守りたいなら、量子力学の新たな発見じゃないんだから、どんなもっともらしいことを言われても古き良き正義への良識を疑ってはならない。

もう一つの顔は、最後に43pだけ記されている村上春樹の小文です。
延々たるインタビューの後に乗っているので簡便なまとめ文かと思ったら、非常に読み応えがあった。
村上春樹は極めて優れた論者ですね。
ありきたりなことは書かず、だからと言って奇をてらうこともない。
我々の内奥にひっそりと息づくデリケートな真実、言葉に出来なかった洞察を、村上春樹はすくいだします。
オウムサリン事件という範疇すら超えて語られる、自我と物語について、去年の震災でもあらわになり、ノモンハン事件から変わってない、優秀で献身的な現場と責任を逃れるトップという日本的社会構造について、今ならブラックスワンとも称されるあらかじめ対処不能の暴力的事象について、などなどです。
語られることが実に深く、私たちの内にある根元的な恐怖を少しだけ撫ぜたような気持になる。
このページだけは何度も読み返したい水準です。

ps
この本でもマスコミへの不信が語られていました。
傷ついた人々を、報道の名のもとに踏みにじっているとかしか思えないのがテレビ局だね。

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Theme : ノンフィクション
Genre : 本・雑誌

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