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世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド 村上春樹@安部公房に似ている

2012-06-03 | 14:41

随分前の作品ですが、今読むと二つの世界を生き来する辺り、なんとなく1Q84の原型とも読めます。
不可思議で美しい幻想世界と、危険に満ちたもう一つの世界。
その間に生息する得たいの知れない恐ろしい生き物。
村上春樹が最も掘り下げたいテーマはこの辺のかな、と感じますね。

壁とか、一角獣、とか、あからさまに手垢のついた暗喩を使いながらも、語られる幻想世界は、格別だった夕暮れの描写をはじめとして、詩情に溢れ、正邪の混淆した魅力的な世界となっています。
メタファーの構造が結末近くで明かされていく過程もスリリングで、読む喜びに満ちていました。
多少、一部、語り過ぎて長く感じる個所もあるのですが、それでも単行本で600p以上、浮気させずに読み切らせるのだから大した力量です。
現代人なら見るであろう夢想、ある種のユング的な集団幻想を非常に高い水準で文章に起していると思いますね。

この本で最もしかり、と思ったのは(以下の文章、省略改変があり)
「完全さというものはこの世には存在しない。永久機関が原理的に存在しないのと同じようにだ。エントリピーは常に増大する。この街はそれをどこに排出しているのだろう。誰も傷つけあわないし、誰も憎み合わないし、欲望もモタナイ。みんな充ち足りて、平和に暮らしている。何故だと思う?それは心を持たないからだ。戦いや憎
しみや欲望がないということはつまりその逆もないということでもある。それは喜びであり、至福であり、愛情だ。絶望があり幻滅があり哀しみがあればこそ、そこに喜びが生まれるんだ。絶望のない至福などありはしない。」
ということです。
我々が目指すべきは、完璧な社会ではなく、各人がしっかりと夢に向きあえる社会である。
村上春樹の訴える社会性があるとすれば、こんな処でしょうか。

読んでいて、なんとなく安部公房も思い出しました。
ノーベル賞、本当に残念だった安部さん。
村上春樹には是非、獲って欲しいです。
ノーベル賞作家の本、私は随分読んでますが、充分以上に資格あり、と感じてます。

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Theme : 本の紹介
Genre : 小説・文学

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まとめtyaiました【世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド 村上春樹@安部公房に似ている】

随分前の作品ですが、今読むと二つの世界を生き来する辺り、なんとなく1Q84の原型とも読めます。不可思議で美しい幻想世界と、危険に満ちたもう一つの世界。その間に生息する得たいの知れない恐ろしい生き物。村上春樹が最も掘り下げたいテーマはこの辺のかな、と感じます...

Comment

Re: No title

はじめまして

>『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と聞くと『灰羽連盟』を思い出してしまいます。
> イイアニメなので是非、おすすめします。
そんなアニメがあるのですか。
今度観てみましょう。
情報ありがとうございました。

  • 2012-06-08 | 07:00 |
  • 晴薫(はるく) URL :
  • edit
No title

はじめまして、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と聞くと『灰羽連盟』を思い出してしまいます。
イイアニメなので是非、おすすめします。

  • 2012-06-08 | 02:25 |
  • URL :
  • edit
Re: 鮮烈でした!

> 以前、村上作品を集中して読んでいたことがあります。
> 図書館にあった全集の中から借りては読み、借り手は読みしていたので、比較的旧い作品ばかりでしたけれど。
小説って、早い時期に読めば良いってモノじゃないですからね。

> ずばり! 村上作品の中で一番印象に残っています!!
世界の果ての幻想世界、とても美しかったです。

> この後、村上作品から離れることにしたのは、この小説が原因だったかもしれません。
> あんまりヘヴィーに感じてしまって。(^^ゞ
なるほど。
この辺が私と好みが違うとこですね。
私は刺激が欲しいタイプなんで、もっと強烈なのが好きです。


> まぁ、ゆっくり読めば好いンですよね。(^ァ^)
仕事じゃないですからね(笑

> なんか、また村上ワールドに戻ってみたくなって来ました。
エッセイとかどうでしょう。
私は実は春樹村上に関しては小説よりエッセイの方が好きです。
軽くて非常に良質のユーモアがありますよ。

  • 2012-06-06 | 23:32 |
  • 晴薫(はるく) URL :
  • edit
鮮烈でした!

以前、村上作品を集中して読んでいたことがあります。
図書館にあった全集の中から借りては読み、借り手は読みしていたので、比較的旧い作品ばかりでしたけれど。
で、その中の一冊がコレでした。

ずばり! 村上作品の中で一番印象に残っています!!
仰るとおり、スリリングでしたね。(^ァ^)

この後、村上作品から離れることにしたのは、この小説が原因だったかもしれません。
あんまりヘヴィーに感じてしまって。(^^ゞ

まぁ、ゆっくり読めば好いンですよね。(^ァ^)
なんか、また村上ワールドに戻ってみたくなって来ました。

  • 2012-06-06 | 22:46 |
  • もとよし URL :
  • edit

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