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幸福な死 アルベール・カミュ@不完全な構成なれど「太陽はいっぱい」

2012-06-15 | 21:10

カミュ自身がこの小説は不完全であり、出版はしないと決めた初期草稿作品です。
何が不完全なのか、というと、ストーリーの構成で、前半1/3位の処では、
「おいおいあの話はどうなったんだよ。
突然、まったく別の作品になっちゃんでんじゃないの」、と嫌になる。
この当時のカミュに、西尾維新の構成力があったらなあ、と。
時代を飛ばしてコーチしてもらうことをおススメしたくなる。

それでもなんとか読み進んだのは、例によって文章が素晴らしく詩的音韻とイメージの喚起力に満ちていたからです。

フランス人ってホントウに太陽と海の光が好きで、その描写は珠玉の如しであり、類稀なものですね。
サルトルもランボーも、モネもシスレーもピサロも、つまるところ太陽の光に魅せられた者どもであった、と。
結局、フランス人が愛するモノ、フランス人が天国と感じるモノって、ルネ・クレマンの描いた「太陽がいっぱい」なんだよな。
太陽の光と海の煌めきに満ちたリゾートの快楽とその奈落。
リゾート地は、「美と幸福が絶望の相を浮かべている」かもしれないし、「真っ赤に輝く、神々の微笑にみちみちて」いるのかもしれない。
見つかるモノは、「戦慄を一つの歓喜として捉える」ことかもしれないし、「孤独と幸福の無限の砂漠」なのかもしれない。
どちらにせよ、楽しめる。
読んでいて最高のトリップだったのは確かでした。

本人が出版させなかったように、確かに小説作品としては不出来な部分ありますが、天性の詩情は処女作故の繊細な輝きに満ち、オタクなら必読の作品だと感じましたね。
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Theme : 本の紹介
Genre : 学問・文化・芸術

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