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貧困の光景 曽野綾子@身体を張る人が語る貧困の現実

2012-07-04 | 16:06

JOMASという人道救済のNGOを作って、実際にアフリカなどで貧困救済活動をしている曽野綾子さんが、幾度も、場合によってはかなりの危険を賭して実地に行った貧困世界のレポートです。

私は一般の人よりは、世界の現実を知っているつもりでしたが、なんの。
曽野さんが報告してくる「現実」は、まさに凄まじい、の一言。
「人間は自分の人生で見たこともない状況を想像することは出来なくて当然@10p」
と慰めてはくれるのですが、なるほど、貧困の極限において、人はこうなるのだ、社会はかくなるのだ、ということがいくらか分かったような気になります。

日本で、私は慈善をしている、という人への強烈な指摘は、50pにあります。
栄養状態からも相当に不安のあるアフリカの少女へ、服を上げようと木箱を開けると、そこには女性用のスーツやパーティドレスが大量に詰め込まれている
「彼らは、自分の要らないモノを捨てる代わりに送り出したのだ。始末に困るものを救援物質にすれば、厄介払い出来た上に、人道的なことをした気分になれる」
曽野さんは、この現実に、聖書からイエスの言葉を引いてこう書きます
「人間が他人に与えるということは、自分の要らないものを思いつきで与える、という楽なことではなく、時に自分の命そのものをさえ与えなければならないこともある」

そして曽野さん、ご自分で危険を顧みずに行動する方らしく、安全で豊かな日本で格差社会を叫ぶ社民党党首やメディアにはかなりの苛立ちを感じるらしく、
「電気のない干ばつのアフリカ、砂漠の酷暑のアラビアで、ほんの短期間にせよ生きてみたらどうか。そして飢
えに苦しむ人々に、自分の食べるパンの半分を割いて与えるという人道の基本を体験したら、どうか、ということだ@241p」

その他、アフリカで飛ぶ飛行機で働く黒人の立ち位置については、その現実について私は言葉もない。
これまた社民党議員やら、人権派弁護士の方々への感想をお聞きしたい処であり、またそのことに対し、非難があるなら、是非、それが改善された小型機で飛ぶことを日常として戴きたいですね。

最後はアラビア社会の貧困から自然礼賛主義者に向けて、
「世界には人権などという言葉が遠く及ばない強烈で残酷な自然がある。
単なる貧困は、人がそこで細々と生きることだけは承認するが、厳しい自然は、人間がそこから敗退するか、死んでからは骨になることまで要求する。それはアラビアの虚無の世界だ」
しかしその苛酷さが、ブノアメシアンの
「自然的な環境がこれほど強い圧力、これほど厳しい拘束、これほどたくましい陶酔をもって、人間という素材を駆使した所はないであろう」
とも書く。
さらにジェラルド・ド・ゴーリーの素晴らしい一節が引用され、曽野さんの次の言葉で本は締めくくりられます。
「荒野が否応なく人間を創り、潤沢がしばしば人間性を腐敗させ崩壊させるという皮肉に、私もいまだ巧く適応出来ない。」

貧困の世界の優れたレポートであるとともに、偽善の横行する日本への警告でもあり、人間という矛盾に満ちた存在への考察もある1冊でした。
やっぱり口だけじゃない人の書くことには、感じる処がありますね。ps
アフリカでは、何故公共インフラが普及しないのか、という問いに、皆が払わないからです、とあります。
支えを失った橋は落ちる。
物理においても、実社会においても、それは当たり前の現実というものです。


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Theme : 本の紹介
Genre : 学問・文化・芸術

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