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悪魔の中世 澁澤龍彦@碩学から学ぶ美術史上の悪魔学

2012-08-22 | 15:04

昔から悪魔というのは、人の好奇心を刺激する存在でした。
悪魔(という概念)は、人類が文明を誕生させると間もなく語られだし、宗教が力をふるった中世で大きく華を開かせ、現代でも飽きられることなく、未だにコンビニなどですらムック本を売っていることがある。

ただそういう古くから語り伝えられている広大な概念を、孫引き、ひ孫引きで読んでいるといつのまにかトンチンカンなことになりかねない。
悪魔学といのは、長い間にわたり、時代時代の多くの知性が延々と語り継いでいるので、一朝一夕にはいかないのです。

この本はそんな悪魔が美術史上、どのように語られたかを書いた一冊ですが、値打ちは、とことん、原典にあたり、場合によっては現地に飛んで実際に確認していることです。

たとえばサタンのイメージとして良く語られる
「七つの頭と十の角をもち、頭には七つの冠をかぶった大いなる赤き龍」
戦ったのは聖ミカエルですが、この情景の原点は、ベアトゥス本の流れをくむロマネスク写本芸術の名高い「サン・スヴェールの黙示録」(パリ国立図書館十一世紀)や「バリャドリド大学の黙示録」(十世紀)や「モルガン・ライブラリーの黙示録」(十世紀)にもそのまま活写してあり、十三世紀にドミニコ教団僧ロランによって編集されフィリップ豪胆王に捧げられた「王者大全」に七つの大罪がそれぞれアポカリプスの獣の七つの頭によって象徴されている、なんてある。
実際に読んでいるわけです。

果てしがないと思われる周辺知識がもたらす洞察も見事で、
「聖アントニウスの誘惑」を描いたダリの発想の原点は、サルヴァトル・ローザの同名の絵画にある、なんて程度なら、毎日毎日、この手の本を読んでいればいつかは気づくと思いつつ、「西欧中世における象徴的構図としての(悪の樹)の紋章は、まず十二世紀初スコラ神学者のユーグ・ド・サン・ヴェクトールの書、(肉体と精神の果実)の挿絵において描かれた」なんて著述は、もうここまで良く書けるなと。
感心するというかあきれ果てるというレベルですね。
一読損はない本で、どうせ読むならムック本よりこういうのがおススメです。

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Theme : 本の紹介
Genre : 学問・文化・芸術

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