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無理(上)奥田英朗@吐息も汗も臭い立つ生々しさ

2012-09-22 | 00:03

寂れていく地方の小都市で、暗澹たる人生にあがく5人の群像劇です。

特筆すべきは奥田英朗の筆力で、描かれる登場人物の生々しさが半端ではない。
登場人物のしたたる汗は臭いたち、ストレスに高ぶる心臓の鼓動まで聴こえてくるようで、うん、この作家は直木賞の栄誉に浴したのではなく、直木賞の権威を高めた側の一員であろう、という水準ですね。

物語は冒頭から終始一貫ともかく暗い。
舞台となる地方都市から、背景となる天候から、登場人物の境遇から、否応なく巻き込まれる出来事まで、一切の光明はないのですが、読むのを止めることの出来ない不思議は、作家奥田英朗の技量故でしょう。

仕様もない人間に起こる、つくづくと嫌な出来事。
それなのに、ああこの感じ、分かるなあ、と思いながら読んでいると、さらに酷い出来事が起こる。
その時、読者はこの小説の題名を悟るのです。
「無理」と(笑

でもこの疲弊と逼塞の息苦しさは、今の日本の一断面を確実に描ききってはいますよね。
光に向かって飛ぶのは虫だけじゃない。
でもその光はホントウの救いなのか?
あるいは身を焼き尽くす偽りの炎なのか?
あがき続ける5人を見守るうちにそんなことも考えました。

読みだしたら止められなくなり、道を歩きながら、真剣にお話しを聞かなければならない場所でも本を手放すこと出来ず。
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Theme : ミステリ
Genre : 小説・文学

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