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変身 フランツ・カフカ@怪物はザムザでなく、我々なのだという暗黒

2014-10-30 | 20:13

家族の為に真面目に働いていたセールスマンが、ある朝起きたら巨大な毒虫になっていたという不条理な恐怖を描き、後の文学から、芸術全般、映画からテレビ番組に至るまで、巨大な影響を与えた作品です。

カフカと映画やテレビの関連というのは、あまり聞いたことないかもしれませんが、最近、某有名大学の学生にカフカと言ったら作品を読んだことがない以前に、名前すらしなかったので、あえてサルトルやらカミュに実存主義文学の先駆と賞賛されたなんて話は止しときます。
ただこの人の提示した不条理な恐怖は、後にTV番組としてはアメリカで「トワイライト・ゾーン」日本では「ウラトラQ」やら「世にも奇妙な物語」などとして、作家でもリチャード・マシスンやら筒井康隆などに霊感を与えています。
ま、ともかくスッゴイ作家であり、作品だということです。

さて、もし貴方が朝起きたら巨大な虫になっていたらどうでしょう。
職場には行けませんよね。
結果、仕事も出来ませんから、もう家族に経済的な貢献は出来ません。
虫になったら姿も不気味なんで、貴方自身の気持ちはそのままでも、周りの人間からは驚かれ疎まれます。
この小説のザムザさんも、家族から驚かれ、次第に疎まれるようになります。
でも変わっているのは姿だけで、心はそのまま、家族思いのお兄さんなんです。
もし姿と一緒に心まで毒虫に変身して、家族を襲い出したのなら、嫌われ攻撃されても仕方ないですが、気持ちは家族思いのままなのが悲劇でした。

この小説の恐ろしさは、一夜にしてこれと言った理由もなく、自分の姿が変わってしまうという不条理にあるとされているのですが、どうでしょう。
我々は経済的な利得で人を判断するな、と教えられます。
金持ちだから優遇するな。
貧乏人だから差別をするな。
でもこの小説では、経済的な貢献が出来なくなったということからザムザは貶められます。
また我々は姿形で人を差別するな、とも言われます。
美人(イケメン)に甘く、ブス(ブサメン)に冷たくしないように(笑
もしそれが甚だしければ貴方の人間性が疑われます。

かつてキング牧師はワシントン大行進での演説でこう言いました
I have a dream that my four little children will one day live in a nation where they will not be judged by colow of their skin but by the content of their Character.
肌の色で人が判断されるのではなく、人柄で判断される世の中になるのが私の夢だと。
その通りですよね。
虫になったからと言って優しく責任感のあるお兄さんを邪険に扱うのは酷い話です。

でもそうするのが人間なんじゃないか、というのが、この小説での顛末です。
金で判断するな。美醜で人を判断するな、なんて言われるけど、結局それはみんな綺麗ごと。
大事にされたかったら金を持ってくるか、綺麗でいるかどっちかだ、なんてことが結論になっています。

そんな人間の暗黒面が赤裸々にさらされているから、この小説は怖いんですね。
怪物は虫となったザムザでなく、我々、普通の人間の内面ってわけです。

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