ロング・グッドバイ   R・チャンドラー  村上春樹訳

2007-03-16 | 23:31

一般にポーを淵源とするミステリーは、時代が進むにつれ多様な発展を遂げました。
その中には謎解きより、タフでクールな探偵を主人公とするハードボイルド物という一派が誕生するのですが、それは初期においてチャンドラー派とハメット派に分かれるとされています。

チャンドラー派は、都会的で、いわゆるトレンチコートに洒落たセリフを特徴とし、窮地においてもへらず口を忘れず情に厚い、今では定型になった私立探偵造型の始祖です。
個人的な見解では、アニメの「ルパン三世」のキャラクターなどにも影響が見られます。
日本では大沢在昌、原寮、パロディ気味では矢作俊彦、などが影響下にあると思います。

ハメット派はもっとギラギラしたイメージに感じます。
気取った口など叩かず、正義や情より自分の欲望、野望の実現優先。戦うことにかけてはより非情です。
日本では大藪春彦、船戸与一ですかね。

好みから言えば、私はハメット派で、気取っていてどうする、と思うタイプなので、正直このロング・グッドバイ(日本では「長いお別れ」として読まれていた)にはそれほど感心しなかったのですが、また村上春樹が訳しました。

購入したのは、この前の「グレート・ギャツビー@フィッツジェラルド」がまったく好みでなかった作品と作者だったのに、実の楽しく読ませてくれたからです。
しかし売れてますね。
先週の文芸部門売り上げ1位。
3月10日初版ですが、私の買ったのは12日でもう3版です。

でもそれだけのことはあります。
この本、1953年発行で、随分古い話なのですが、読んでいると、50年代のアメリカが舞台の小説なのに、magicalな村上ワールドの力で、クローン再生されたvirtualなロサンジェルスに漂うようで、それが心地良い。

村上春樹は、私エッセイが一番好きなんです。
次が短編で、長編は初期の3作を除くとそれほどでもない。
それが「グレート・ギャツビー」にしろ、この「ロング・グッドバイ」にしろ、アメリカの原作が村上流に訳されると、才能豊かな監督のリメイク作品のように、不可思議な魅力が充満し始める。
分厚いですが、かなり楽しんで読んでます。
チャンドラーをこんなに楽しんで読むのは初めてだ。

この調子なら「大いなる眠り」と「Farewell, My Lovely、さらば愛しき女よ」も読みたいです。
というか、お願いします、村上様。

Theme : 推理小説・ミステリー
Genre : 本・雑誌

Comment

そうですね

名科白だらけで一人歩き(笑

お読みになるなら清水訳やり村上訳をオススメします。

この本は、デカイし重いし、もしお読みなるなら図書館予約でマターリで良いかもしれません。

  • 2007-03-21 | 18:26 |
  • 晴薫 URL :
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名科白

これ、気になっているんですけれど、なかなか読めないでいます。 って、旧訳の方も未読なんですけれど。orz
名科白ばかり先に刷り込まれちゃってます。(^^ゞ

  • 2007-03-21 | 08:23 |
  • もとよし URL :
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