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<映画の見方>がわかる本  町山智浩

2006-04-29 | 17:11

映画は2時間、面白ければよい。
これは確かなことですが、ごく稀に一つの作品が深く心に残り、
その1シーンが、セリフが繰り返し蘇り、残されたメッセージに長く捕らわれるような作品があります。

私の中ではそれは「タクシードライバー」:76年であり、「ロッキー」:76年であり(両方とも1976年製作でした。
なんとこの年、私は18才で、一番感性が鋭敏な時代に、「アメリカの大きな屈折」が生み出した作品群と出合ってしまったわけです。これはこれでこの年代が共有することになる大きな精神的瘢痕ではないでしょうか)
その他では「2001年宇宙の旅」68年、「地獄の黙示録」79年が取り上げられます。

今から振り返るそれはアメリカがベトナムで窮迫し、卓越した身体能力と音楽センスで台頭するブラック・パワーに、内気でダサイ白人青年達が逼塞した時代の生んだ一群のアンチ・ハリウッド作品なのでした。
逆にこれは長く興隆を誇った、「予定調和のハリウッド映画産業」の行き詰まりの反動だった訳です。

この本は、上記のいわゆるアメリカン・ニューシネマの解説本ですが、
難解といわれた「2001年・・・」についてはSFに親しんでいた私には極解かり易い作品でした。要は進化の話でしょう、と。

また「地獄の黙示録」で使用されるベトナム戦争からのエピソードや、
はからずもお互いがネガとポジの関係になった「タクシードライバー」と「ロッキー」の逸話など、断片的には知っていることも多く、この本でなされる解釈にもすべて諸手を挙げて賛成という訳でもないですが、
「2001年・・・」の原題に記された「オデッセイ」はホメロスの「オデッセイア」の英語読みなのは解かっていても、キュクロプスとHALが一つ目という共通点での解読などは、なるほどなるほどと膝を叩く思いがしました。(オデッセウスとボーマン船長は共に一つ目の巨人を出し抜き旅を続けるのです)

また「タクシードライバー」誕生のきっかけになった「暗殺者の日記」なども私はただ漠然と知っていた、というだけのことを正確に位置づけ組み立てて読めるので、改めて知識が整理され興味深かったです。

その他この本では「イージーライダー」「俺たちに明日はない」「卒業」「猿の惑星」「フレンチ・コネクション」「ダーティハリー」「時計仕掛けのオレンジ」「未知との遭遇」などの記述があり、どれも当時の資料を詳細に一つ一つあたり、作品として完成された世界を読み解いていく過程に妥協のない力作でともかく読ませます。

以上の映画に思い入れのあるファンには大いに楽しめる本だと思いました。

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Theme : 映画の裏話
Genre : 映画

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